海外中古不動産について、近年、節税策として利用されることが流行っていました。
これにつき、税制改正で規制が入りました。
海外の建物は、日本の建物と比べて実態上耐用年数が非常に長いものがあるところ、日本の建物の耐用年数の計算を使用して実態よりも多くの減価償却費を発生させ、それにより発生する赤字と他の所得を損益通算し所得税の金額を圧縮するスキームが流行っていました。
今後は、上記の方法により海外の中古不動産で赤字が出た分について、他の所得との損益通算が出来なくなります。
もっとも、これにより計上出来なかった赤字については、物件の売却時に調整してくれます。
実態と乖離した計算上の減価償却の先取りにつき、他の損益との通算部分まではその先取りを認めない。ただ、先取りとなる分について過剰な減価償却部分を認めないだけであって、先取りできなかった分の所得については最後に調整されるという設計になっています。
この改正について、個人的には実態から乖離した形での過度な節税について規制したものであり、妥当な改正かなと思っています。
もっとも、この手法をアテにして長期のタックスプランニングを組まれていた方は予定が狂うこととなります。税制の大枠の趣旨から離れる形での節税対策については、少なくとも中長期での税制改正リスクについて考慮しておく必要があると私は思います。
上記改正は、2021年分からの適用となります。