平成25年度の税制改正によって、平成26年1月より少額投資非課税制度(日本版ISA,NISA)が導入されます。

この制度は、少額投資非課税口座を開設してその口座内で上場株式、ETF,REITや株式投資信託等を購入すると、配当金や売却益などが、非課税となる制度です。

この制度は、1人年間100万円分の購入までで利用することが出来ます。そして、現在のところ、平成26年から平成35年までの10年間この制度の存続が予定されており、10年間にわたって毎年100万円分を上限に上場株式や株式投資信託を購入して利用することが可能です。

非課税の期間は5年間とされていますが、5年経過後も少額投資非課税口座(ISA口座)で購入した株式を保有し続けたい場合は、通常の特定口座や一般口座に移管することで購入した株式の保有を続けることもできます(この場合口座移管後の配当や値動きに対しては通常の株式保有と同様の課税がなされることになります)。あるいは翌年のISA口座、たとえば平成26年に購入した株式であれば平成31年のISA口座に移管するという方法をとることも可能です。

ただし、この日本版ISAの制度には落とし穴があります。正確には、私が落とし穴と思っているポイントがあります。 それは、通常の特定口座や一般口座でも上場株式等を利用していて、さらにISA口座を利用する場合ISA口座で損失が出ても、特定口座や一般口座の利益と相殺が出来ないという点です。

日本版ISAの制度を利用することで、利用しなかった場合と比べて逆に税金が増える可能性もあります。

日本版ISAの制度は年間100万円までの購入しか利用できないことを考えると、日本版ISAの制度を利用する場合でも通常の特定口座や一般口座との併用になる方が一般的かと思います。

では、どのように日本版ISAの制度を活用するのがよいか?

とにかく値上がりそう、あるいは配当が多くもらえそうな銘柄や商品から優先的に日本版ISAの制度を利用していくという方法も全くないわけではないとは思います。しかし、将来値上がりそうかなど、そう簡単には分かりませんし、配当が多い商品も、最終的な譲渡損益などまで考えると本当に有利なのか・・・。

個人的には、既存の特定口座や一般口座の含み損益の状況にもよりますが、以下の2つの活用法が比較的有利な活用法ではないかと考えます。

1つが、株式等の売買をする際に、通常の口座とISA口座で銘柄構成比率と取得単価が極力一致するようようにする。例えば、株式の売買時に必ず通常口座で注文を出す株数の半分の株数を非課税口座で注文を出すといった方法です。この方法のメリットは、ISA口座と通常の口座の損益の方向が一致するので、通常の口座で益が出てISA口座で損が出るという最悪のパターンを避けることが出来ます

もう1つは、値動きが激しい銘柄や商品をISA口座で購入し、値動きが乏しい商品を通常の口座で購入するという方法です。この場合、通常の口座で益が出てISA口座で損が出る可能性を抑えることよりも、値動きが激しい商品や銘柄で多額の売却益が出た場合の節税を行うことを重視する方法です。

具体的にどのような方法をとるか、あるいは方法を組み合わせるかについては、現在の含み損益の状況や、保有を考えている商品構成、銘柄構成の内容により異なってきます

個々の場合の具体的なISA口座の利用方法は、税法の知識よりも金融系の知識が問われることになるというのが私の感想です。