今回の税制改正で、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置が平成27年12月31日まで(もっとも、将来的に期間が延びる可能性もありますが)の期間限定で導入されました。
この制度は、曾祖父、曾祖母、祖父、祖母、父、母といった直系尊属がひ孫、孫や子に対しして教育資金として一定の信託銀行、銀行、証券会社などに金銭を拠出した場合に適用を受けることができます。
では、これまでも教育で必要になった資金をたとえば曾祖父や祖母が出したからといって贈与税が課されていたか。実は、そういう訳ではありません。これまでも非課税でした。
今回の制度がこれまでとは違うのは、教育資金が必要になったそのときにではなく、まだ教育資金が必要でないタイミングで事前に贈与を行っても贈与税が非課税とされる点です。
とすると、結局は非課税になる資金を前に贈与するか後に贈与するかというタイミングの違いだけなので、一見この制度はあまり意味が無いのでは、と思われるかもしれません。
しかし、たとえば曾祖父がひ孫に対して教育資金を贈与することを考えた場合、たとえばひ孫が3歳のときに曾祖父が亡くなってしまうとすると、非課税で曾孫の大学の授業料といった将来の教育費用を出してあげることは、これまではできませんでした。
なぜなら、事前に直接ひ孫に贈与するとまだ必要になっていない教育資金に対するなんらかの財産を贈与することになり贈与税の対象となってしまい、また、教育資金が必要となるタイミングでひ孫の教育資金を出してあげるにしても、いったん祖父、祖母や父、母を相続なり贈与で介すことになり、一度は相続税または贈与税の対象となってしまうからです。
しかし、この制度を利用すれば、たとえばひ孫が1歳のときに大学や大学院卒業までの教育資金を一括して贈与することで、贈与税が課税されることなく将来の教育資金を出してあげることが可能になります。
次回も、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について別の切り口で取り上げたいと思います。