フリーランスの方に対するコロナ禍の国の支援制度について、
弊所代表大津留が、讀賣新聞より取材を受けコメントが記事に掲載されました。
エンジェル税制の税メリット以外の副次的効果
今回の所得税の確定申告において、顧問先のエンジェル税制の申請を行いました。
エンジェル税制とは、投資家が一定の要件を満たすスタートアップ企業等に投資する場合に設けている優遇税制で、投資を行う側に税メリットが発生する制度となっています。
今回は、投資を受けた企業サイドの支援としてのエンジェル税制の対象企業となるかの確認申請手続きと、個人投資家サイドのエンジェル税制を利用した確定申告手続の両サイドを弊所にて行いました。
エンジェル税制の対象企業となるかの確認手続きを企業サイドの手続きは都道府県庁にて行いますが、その際に県の成長企業支援の担当の部署に対象企業を認知して貰えるという副次的効果もありました。
特に、設立後1~3年の企業にとっては、投資家として恩恵を受けやすい優遇措置の要件を満たしやすく、エンジェル税制活用の検討の価値はあるのではと思います。
Origamiの買収劇と2020年代の始まり
日本におけるQRコード決済事業の先駆者であったOrigamiが、
メルカリに買収されることになりました。
一説には、タダ同然での買収であったと言われています。
一時期は400億円を超える企業価値の評価がされていたOrigamiが、
事業分野としてスポットライトがど真ん中に当たってしまったが故に
最も激しいレッドオーシャンと化し
100億円単位の販促費の殴り合いに巻きこまれ
タダ同然での身売りを余儀なくされたことにスタートアップの不条理さを憶えます。
スタートアップは先行者である事業分野が脚光を浴びることが不幸を招くこともあるものだと。
と同時に、今回のOrigamiの件は、2010年代の終焉と2020年代の始まりの象徴的な先駆的出来事かもとも思います。
2010年代(=去年まで)は、デジタルイノベーションが大正義。
なんとなくイノベーティブでスケールしそうな事を言っていればもてはやされていた時代だったと思います。
しかし、2020年代は、イノベーティブでスケールしそうな雰囲気があればなんでも良かったという宴が終わり、
「選別」が始める。
昨年までもその動きは出てきつつありましたが、これからその「選別」の動きがさらに加速するのではないかと。
スタートアップは2010年代では善と考えられていたものについて、
それが一時的な熱狂に過ぎないのか普遍的な本物なのかを見つめ直し、
2020年代のパラダイムシフトに備える必要があると私は考えます。
特に今後のビジネス展開を考える際、昨年までもてはやされていたものについて一度疑いの目を持ちながら
考えてみることは、これまで以上に重要になるかと思います。
WeWorkに思う
WeWorkが巷を賑わせていますが、
賑わっている話題とは別に私が思うこと。
私としては、WeWorkのあの賃料は本当にスタートアップのことを考えているのか、
それとも、所詮稼ぐ力を既に備えている方々のための楽園しか提供する気がないのか、そこが不満に思います。
机1つのスペースしかない個室を借りるだけで月9万円。
それだけ家賃を出せれば、福岡ならば都心部でも2LDKのマンション程度なら十分借りれます。
独立してされている方でも、もともと安定して稼ぐ力のあり収益が確保出来ている方が利用する分には良いと思うのですが、
まだ収益力がヨチヨチ歩きでとにかくキャッシュが尽きないことが大切な初期段階のスタートアップがキラキラ感に惹かれて入居したがったりするのを見ると、頭が痛いです。
WeWorkはスタートアップのキラキラ感に対する欲望を満たすのに上手いところを突いているとは思いますが、
スタートアップ側としてはWeWorkに入居して良いステージにあるのか、それとも本当はガレージくらいでやるべきステージなのか。
キラキラした自己高揚感にだまされず、しっかりと見極めて欲しいところです。
スタートアップ社長とFackbook Messenger
前回、スタートアップとチャットツールについて取り上げましたが、
今回その補足編として、スタートアップ社長個人と連絡を取る際のツールの話を取り上げます。
スタートアップ社長は圧倒的にFacebookのMessengerを利用しています。
世間一般だとLINEが一番使われていますが、
スタートアップの社長個人とのやり取りは、
それがFacebookのMessengerとなっている感じです。
あとが、Chatworkです。もっとも、こちらは一緒に仕事をやる関係になるまでは
使うことは少ないです。
スタートアップの社長を相手に仕事をされることを計画されている方は、
FacebookとMessengerの登録は、ほぼ必須と考えておいて良いと思います。
スタートアップとチャットツール
スタートアップ企業において、チャットツールはよく使われています。
そして、よく使われているチャットツールは2つ。
Chatwork と slack です。
Chatworkは平たく言えば、ビジネス版LINEです。
シンプルな分の使い勝手の良さ、ITがそこまで得意でない方でも扱いやすいこと、
そして、ある程度まで無料で使え有料プランになってもslackより割安であること
が魅力です。
slackは、Chatworkの高度版的なものです。
チャンネルという仕組みが存在し、カテゴリー毎にチャットの分類作成を行いやすい仕組みになっています。
slackの方が出来ることが多いですが、
その分使い勝手が複雑になりがちであること、ある程度ITが出来る人で無いととっつきにくいこと、
Chatworkよりは割高である点がデメリットではあります。
ITに抵抗感が無い人が集まっている組織であればslackの方が便利ですが、
Chatworkのslackよりも機能が絞られている点を生かして情報共有の流れをシンプル化する
運用も有効な運用方法であると私は考えています。
ついに統一化された地方税電子納税のシステムがスタートします
平成31年10月1日より、地方税共通納税システムがスタートします。
地方税共通納税システムとはすべての自治体(都道府県、市町村)に対して利用できる電子納税のシステムです。
たとえば、これまで福岡市に本社がある会社であれば国税に加え福岡市は電子納税に対応していても福岡県が電子納税に対応していなかったため、結局金融機関の窓口等に納税に行く必要がありました。
これが、地方税共通納税システムのスタート後はすべての自治体で電子納税が可能となります。
電子納税の方法には、インターネットバンキングを利用する方法のほか、ダイレクト納付方式によるインターネットバンキングの利用がない場合の対応もなされています。
また、対応税目も主要な地方税目はカバーされています。
地方税共通納税システムのスタートにより、これまで煩雑で分かりづらかった地方税の納税が統一的に行えるようになり、納税者にとってはより便利となります。
世界最大のスタートアップイベントSLASHに行ってきました
平成32年度分以降の個人事業主の確定申告とe-tax
平成30年度の税制改正で、基礎控除の原則10万円の引き上げとセットで、給与所得控除、公的年金等控除、の金額をそれぞれ10万円引き下げられることとなりました。
ちなみに、給与所得控除については子育て世帯を除き、850万円を超える部分に対する給与所得控除の増加分がなくなり、前述の一律10万円引き下げと合わせると、給与所得控除の上限額は220万円から195万円へと25万円引き下げられることとなります。
青色申告特別控除も同様に、控除の金額が65万円から55万円へと10万円引き下げられました。
しかし、青色申告特別控除の場合、e-taxによる電子申告又は電子帳簿による保存を行う場合は、引き続き65万円の控除が受ける事が出来ます。
青色申告特別控除の控除額を増やしたい場合、e-taxによる電子申告又は電子帳簿のどちらを選ぶのが実務上の手間が少ないか、こちらは、e-taxによる電子申告を行う事で要件をクリアした方が、圧倒的に手間は少ないです。
これまで、e-taxによる電子申告を行うことについて実利的なメリットが乏しかったですが、この改正により、個人事業を営まれており事業所得が発生している方は、e-taxによる電子申告を行うべき十分な実利上のメリットが発生する事となりました。
ちなみに、この改正は平成32年分以後の所得税について適用されます。
ビットコイン等の仮想通貨と個人の税金
ビットコインの仮想通貨を個人で売買した場合の所得税の扱いについて、国税庁より所得区分の取扱いが先日公表されました。
それによれば、事業活動により発生した損益等の場合を除き、原則として雑所得として扱われることとなります。通常の方の場合、ビットコインの売却益は雑所得として扱われると考えて良いでしょう。
雑所得となる場合の税率ですが、他の総合課税の対象となる所得と合算しての累進課税となります。
従いまして、ビットコインで同じ金額の利益を得た場合でも、他に所得がない方と比較して、給与や事業所得がある方は、より高い税率となります。
例えば、他に所得があまりないような方の場合、住民税との合算で約15%の税率で済むことになりますが、高額の給与や事業所得等がある方の場合、税率は住民税との合算で最大約55%程度となります。
なお、雑所得となる場合、雑所得間でしか損益の通算が出来ません。大多数の方の場合、仮想通貨の売却益が発生し雑所得が発生すると、所得税の納税は不可避であると考えて頂いた方がよいかと思います。
ちなみに、ビットコイン以外の仮想通貨について、国税庁が今回示した見解に記載はありませんが、少なくともビットコインと同じような仕組みの仮想通貨である限りは、同様の所得区分になると考えられます。
なお、消費税に関してですが、平成29年7月1日以降は非課税扱いとなっています。