2017年税制改正と相続対策の封じ込め(国内編)

配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが騒がれている平成29年度与党税制大綱ですが、相続税、贈与税といった、いわゆる資産税関連で、これまで節税対策として行われてきた一部の節税策を封じこめるために、目立った改正がなされています。

 

今回は、そのうちの海外関連以外の改正について取り上げます。

 

海外関連以外の改正で、相続税、贈与税の節税対策を一部封じ込めることとなる改正ポイントとしては、目立つもので以下の3つが挙げられます。

 

第一として、取引相場のない株式の評価の見直しが行われます。具体的には、類似業種比準方式による評価について、これまで、純資産、利益、配当の評価の比重が1:3:1であったのが、1:1:1に改正されます。

結果、これら3つの要素の中で一番調整が行いづらい純資産の評価の比重が従来の1/5から1/3と上がることとなり、例えば、利益及び配当の金額を調整し、株式の相続税や贈与税上の評価が下がったタイミングで株式を贈与する、といった節税手法に対して節税のメリットが減退することになります。

 

第二として、広大地の評価の見直しが行われます。広大地とは、おおざっぱに言えば、三大都市圏で500平米、それ以外の地域で1,000平米以上の土地のうち一定のものを指します。広大地に該当すると、広大地でない土地と比較して、大体45%から65%という大幅な評価を引き下げた上で、相続税や贈与税の税額計算を行うことが出来ます。

この広大地の評価方法につき、見直しがなされることとなりました。

 

第三として、いわゆるタワーマンションの評価の見直しが行われます。これまで、タワーマンションの高層階については、実際の時価と相続税、贈与税の計算で用いられる評価額に大幅な乖離があり、それを利用した節税が広く普及していました。これに対し、タワーマンションの建物の相続税、贈与税上の計算で用いられる固定資産税評価額の計算について、建物階数を要素として入れ込むことで対策がなされるととなりました。

今後取得されるタワーマンションについては高層階の相続税、贈与税上の評価が上がることとなります。

 

次回は、海外関連について取り上げます。

年末年始の営業につきまして

平素より公認会計士大津留孝明事務所に格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
年末年始につきまして、以下の期間、弊所の営業を休ませて頂きます。


2016年12月29日(木) ~ 2017年1月3日(火)

 

ご迷惑をおかけいたしますが何卒よろしくお願い致します。

正社員1名の募集を行います

業務拡大に伴う増員のため、正社員の募集を行います。

http://www.otsuru-cpa.jp/recruit/

働きやすい職場を心がけております。また、希望に応じ様々な業務経験が可能です。

皆様のご応募、お待ちしております。

東京での富裕層向けサービス勉強会のサテライト会場試験運用

先日、東京で行われている富裕層向けサービスを中心とした勉強会の、福岡のサテライト会場の試験運用を行ってみました。
 
富裕層向けサービスについての首都圏と福岡の情報格差を埋めたいというのは、私が福岡に帰ってきてからいつかは実現したいと考えておりました。東京で勉強会を主宰されている方々、そして、この勉強会を福岡でも行おうと私を誘って下さった方々には、感謝するのみです。

今日の勉強会では福岡の弊所の会議室以外にも、大阪、シンガポールとも繋がっておりました。技術進歩の恩恵を切に感じます。
 
14708211_1257068541031800_4078315326292672838_n

モザンビークに出張して来ました

今月は、国際税務の業務でモザンビークに出張して来ました。

モザンビークは、租税条約を締結している相手国が10カ国程度しかなく、普段日本で仕事を行っている私としては、新鮮な衝撃でした。

日本とも租税条約は締結されていないです。

もっとも、UAEのみに限定されますが、UAEとの租税条約では配当と利子の源泉税が0%となっており、UAEと取引を行う分には使い勝手は良いです。

モザンビークの件は、気が向けば引き続き取り上げていこうと思います。

福岡市への納税をクレジットカードで行えるようになりました

平成28年分の税金より、国税のみでなく、福岡市への納税もクレジットカードにて行う事が出来るようになりました。

クレジットカードでの納付が可能となった税の税目ですが、

 ・軽自動車税
 ・個人市県民税(普通徴収)
 ・固定資産税・都市計画税
 ・固定資産税(償却資産)

の4種類となります。

また、対応しているクレジットカードもVISA,MasterCard,JCB,AMERICANEXPRESS,DinersClubの5種類に対応しているため、お持ちのクレジットカードでほぼ対応可能かと思います。

金額も、1千万円未満の納税であれば対応出来るということで、通常であればシステム上の利用上限額の心配も必要ないかと思います。

納付方法ですが、「福岡市税 クレジットカードお支払サイト」より、webにて納付するようになっています。

クレジットカードで福岡市に納税を行う際の注意点ですが、クレジットカードでの納付を行う場合、手数料が発生します。
手数料は納付額1万円刻みで設定されていますが、消費税込みでおよそ0.8%弱の料率が設定されています。

とはいえ、ご自宅で簡単に納付ができるメリットのほか、ポイントの貯まるクレジットカードでポイントを貯められたい場合や、年間一定額以上の利用で年会費が無料となるクレジットカード等で利用額を増やしておきたい方にとってはそれらのメリットもある話ではないかと思います。

お盆時期の休業日につきまして

平素は格別のお引き立てを賜わり厚くお礼申し上げます。

弊所のお盆休業についてお知らせいたします。

誠に勝手ながら弊所のお盆休みは下記の通り休業とさせて戴きますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

8月13日(土)~8月15日(月)の3日間をお休みさせていただきます。

期間中は大変ご不便おかけいたしますが、何卒ご了承くださいますよう宜しくお願い申し上げます。

相続された家が空き家のままの方へ ~譲渡所得の優遇措置が創設されました~

今年(平成28年)の4月1日から平成31年12月31日までの間に、被相続人の方がお亡くなりになられてそのまま空き家になっていた土地等を売却した場合、一定の要件を満たせば、個人の税金の計算上、売却益のうち3,000万円までを控除出来る制度が創設されました。

不動産の譲渡の際の税率は、計20.315%となるケースが一番多いかと思います。
売却益のうち3,000万円を控除出来れば、税率が20.315%の場合、600万円強、税額が安くなります。

この特例を利用できる具体的な主な要件ですが、

  • 譲渡のタイミングが相続開始日から3年を経過する日である年の年末までであること。
  • 相続または遺贈により引き継いだものであること
  • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
  • マンション等区分所有の建物ではないこと
  • 被相続人の方がお亡くなりになられたタイミングで、被相続人のみがお住まいであったこと
  • 被相続人の方がお亡くなりになられた後、ずっと空き家であったこと
  • 空き家を取り壊し済みの場合、取り壊し済みの土地を貸したり、事業で使ったり、住んだりしていないこと
  • 空き家を取り壊し済みの場合、その後更地のままであること
  • 家屋を取り壊さず土地家屋をセットで譲渡する場合は、地震に対する安全性に係る規定又はこれに準ずる一定の 基準を満たしていること
  • 譲渡対価が1億円以内であること

などとなっています。

 

なお、この特例を利用する場合、この特例を受ける旨その他必要事項を記載等の上、確定申告を行う必要があります。

その他細かい注意点もございますので、具体的に相談をなされたい方は税理士等へご相談されることをお勧め致します。

Squareレジの無料POSレジアプリとしての実際の使い勝手

前回のブログで、Android端末での使用が今後不可能になるエアレジ(Airレジ)について、Androidで使える無料POSレジアプリの代替策としてSquareレジがあることを取り上げました。

 

しかし、Squareといえば本来はクレジット決済のサービス。そこで、クレジットカード決済以外でSquareレジが無料のPOSレジアプリとしてどこまで使えるか試してみました。

 

 

1.Squareレジを、レジ以外の機能を使わずとにかくカンタンに使う

 

POSレジアプリを、売上分析を行う以外の目的で使っている方も多いかと思います。例えば、

 

  • freeeやMFクラウドなどの会計ソフトにレジから売上が自動で取り込まれるようにしたい。
  • タブレットを活用することで、低コストでレジを入れたい。
  • スペースをあまり使わないレジが欲しいのでタブレットを活用する。

など。

 

その場合、POSレジアプリに求める機能は一般のレジに加えて会計ソフト、会計サービスへのデータ連携が出来れば十分となります。

そして、このような使い方であれば、最初の設定もそれほど大変ではありません。

 

この使い方でのレジ決済の流れですが、以下のようになります。

 

1)商品の金額を入力

Square会計入力

単純に金額を打ち込むだけです。

税抜きで入力して、会計時に税込みに変換するといった設定も可能です。

 

なお、ここで金額だけ打ち込んで精算をすることも出来るのですが、その場合レシートに「任意の金額」とのみ表示されます。

商品名をその場で打ち込めば、商品名も表示されます(1つ1つ商品名を打ち込むと、結構手間ではありますが)。

Square商品名入力

 

2)レジの打ち込みが終わったら、「お会計」ボタンを押して金額の精算

Squareレジ精算

現金、カード、ギフトカード、その他といった中からの支払い方法に加え、現金精算の場合は預かった現金額を選びます。預かった金額が候補に示されていない場合は「任意の金額」を選び、金額を入力します。

 

3)完了

Squareレシート発行

現金1,000円のお預かりと入力すると、892円のおつりと、おつりの金額が計算されました。ここで、Eメール等でレシートを発行、送信したい場合はこの画面上から送信することが出来ます。

 

2.Squareレジで、商品分析や顧客分析も行う

 

Squareには商品の登録も出来ます。

商品を登録することで、レジ画面での商品の選択、商品ごとの売上分析のほかに、在庫管理も可能になります。

 

商品をあらかじめ登録しておけば、その商品を選択することで自動的に金額もレジに反映することが出来ます。

Square商品選択

Square商品精算

 

商品を値引いて販売することもある場合、値引きの設定もあらかじめ行う事なども出来ます。

Square値引き入力

 

また、在庫管理の機能もついています。これを使うことで、在庫の残数量の管理や、実地棚卸を行った際の差異の把握も行うことが出来ます。

Square在庫管理

 

取引データのダウンロードを行うことが出来るため、曜日、時間帯や商品別の売上分析を独自でデータを加工して行うことも出来ます。

square取引データエクスポート

 

顧客管理、顧客分析ですが、こちらはクレジットカード決済の顧客を対象としていて、現金決済の顧客についての顧客分析機能は提供されていないです

Squareの本来のサービスがクレジットカードの決済であることを考えれば、現金決済の顧客に対して顧客分析機能が提供されていないのは仕方がないことかと思います。

エアレジでも顧客分析についてはデータをダウンロード出来なかったりと、無料で使えるサービスだと何かしら機能制限がついてしまいます。顧客分析をしっかり行いたい場合は、有料のサービスを探されるべきかと思います。

エアレジがAndroidに対応しなくなる問題の対応策としてのSquareレジ

無料で使えてPOSレジとしての機能もなかなかのエアレジ(Airレジ)。そんなエアレジが、6月下旬以降、Android端末では使えなくなるとの発表がありました。

 

どうも、エアレジとAppleの関係強化のあおりのようですが。そして、これで困るのが、Android端末でエアレジを使用している場合。

ipadを新たに購入してエアレジを使い続ける場合、ipad miniの一番安いものでも税込3.5万円近く、ipad miniでなく通常のipadを買おうとすると、一番安いもので税込5万円近くしてしまうことになります。

 

エアレジがAndroidに対応しなくなった後でもAndroid端末に無料でPOSレジ機能を持たせる方法はないか?

SquareのPOSレジアプリ、Squareレジを使用することでその問題に対応することが出来ます。

 

Squareの本来のサービスは、Squareが販売しているクレジットカードのリーダーをAndroidやAppleの端末に差し込みカード決済を行うというものですが、クレジットカードのリーダーを購入せずに、Squareレジのアプリだけをダウンロードして使うことも実はできます。

ちなみに、その場合でもクレジットカードの決済も行うことができます。その場合はクレジットカードの情報を直接手打ちで入力することとなり、クレジットカードの決済手数料もリーダーを利用した場合が3.25%なのに対し3.75%と0.5%高くなります。

そして、Squareレジは、クレジットカード決済のみでなく現金や商品券での支払いにも対応することが出来ます。使い方は、SquareのPOSレジアプリのレジ決済の画面で、決済方法で現金や商品券を選ぶだけです。ふつうのPOSレジと、使い方は大きく変わりません。

square-regi

さらに、Squareレジはエアレジ同様、freeeMFクラウドと連携させることで、会計入力の自動化をはかることも可能です。

つまり、顧客管理だとかの機能を使いこなしているわけではなければ、Squareレジに移行してもエアレジで行っていたことをほぼ行うことが出来ます。

 

もうひとつ追加を言えば、Squareレジはレシートを電子メールで送信することが出来るため、レジプリンターを買わなくてもレシートをメールで送信したり、あるいは自身のメールアドレスに送信後すぐに通常のプリンターより印刷することで、(レシートの見た目を気にしなければ)専用のレジプリンターなしでレシートを打ち出すことも可能となります。

 

Squareレジの実際の使い勝手については、今後取り上げたいと思います。