給与所得者の特定支出控除について

サラリーマン等の給与所得者が仕事のための費用を自腹で一定額以上使った場合、給与所得者の特定支出控除の制度を利用することで、その一定額以上使った分について所得から差し引き税金の還付を受けることが出来ます。この制度を、給与所得者の特定支出控除と呼びます。

以前の特定支出控除の制度は、年間10人も利用者がいないような制度でしたが、平成25年分より改正され、使い勝手が良くなりました。

改正後は、以下の経費

1 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出
2 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出
3 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出
4 職務に直接必要な資格を取得するための支出
5 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出
6 次に掲げる支出で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの (但し計65万円が上限)
(1) 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用
(2) 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用
(3) 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出

が対象となり、これら特定支出の合計額が給与所得控除の1/2を越えると税金の還付を受けられるようになっております。

では、これら特定支出が年間いくらを越えてくると税金の還付が発生するのか、年収500万円の方で77万円、年収800万円の方で100万円、年収1,000万円の方で110万円がラインとなります。

不動産業と消費税の二重の増税

消費税の税率について、今年の4月に地方消費税の税率と合わせて8%となり、さらに来年10月には10%となることはご存じの方は多いかと思います。

この増税とは別に、不動産業を行われている方で簡易課税制度を選択されている方は消費税が増税されます。

具体的には、簡易課税制度のみなし税率が50%から40%へと引き下げられます。

簡易課税制度とは、課税売上高の一定割合を課税仕入高とみなして仕入控除税額の金額を計算する制度のことです。この制度は、前々年又は前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下の事業者が選択可能です。原則課税と比べて経理の手間が少なくて済むこと、税額が原則課税の場合と比べて低くなることが多いことから、この制度を選択されている方も多いかと思います。

この2つの影響により、不動産業で簡易課税制度を選択されている方は2年足らずの間に消費税の負担は2.4倍と大幅な負担増になります。

なお、金融業および保険業につきましても、簡易課税制度を利用している場合のみなし仕入率が60%から50%へと引き下げられます。金融業及び保険業の方は、消費税率の増税と合わせると2年足らずの間に消費税の負担は2.5倍と、こちらも大幅な負担増になります。

ちなみに、簡易課税制度におけるみなし仕入率の引き下げは、平成27年4月1日以降に開始する課税期間から適用されます。(但し、平成26年9月30日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した場合、提出書記載の「適用開始課税期間」の初日から2年を経過するまでに開始する課税期間までは、従来のみなし仕入率を適用する経過措置が設けられています。)